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行き止まりは、どこにもなかった

行き止まりは、どこにもなかった

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砂浜に滴る、赤い液体。それはその場にどんどん溢れ、面積を広げていく。

紅い紅い砂に塗れ…いや、そもそもその赤い液体はそこから漏れているのか。

真っ赤な浜の中心に、ロドクは倒れていた。

誰もが沈黙して彼を見つめたまま動かない。

何が起こったのだろうか。

時はほんの数分前、ビーチバレーが終わった頃に遡る。











ロドク「結局結果は有耶無耶…仕舞われちまったな、賞品。」

ミッキー「まぁさすがに命を捨ててまでボールやれとはいえないからね!」

ユキ「次の機会があれば、その時にでも頂くよ…ハッ。あるじゃない」

ロドク「ある?何が。」

ユキ「さっそくその機会が…だよ!海と言えば何があるさみんな!」

全員「海の生き物の観察?」

ユキ「根暗なコテどもめ!!ちがうでしょ!海と言えばスイカ割りじゃない!」

死忘「あー。そっかぁ。それも定番だねぇー」

糊塗霧隙羽「というか泳いだりとかするつもりはないのか?」

ユキ「何人か水がだめだから仕方がないじゃんか。泳ぎたい人は行けばいいよ」

ミルラ「なるほど…そういわれちゃうとなんか行きづらいね?」

ロドク「え、あー・・あー!そうだな!いきづらいな!」

かてないさかな「(明らかに一人で行こうとしてたな)」

シュタイナー「そうと決まれば、スイカを用意せねばな…そういえばスイカといえば176年前に…」

ロドク「あ、そのおっさんは無視でいいよ。で、だ。冷静に考えると俺らスイカキライじゃねーか」

※リアルロドクは野菜・果物類はほぼスキキライで食べません。

ユキ「でもスイカ割らないとなると何をわるのさ?なんにもないよー?」

ロドク「ちょうど喧しいおっさんいるしあれでいいんでない」

ユキ「さすがにこの世界の住人とはいえ進んで頭叩き割りたくないよ」

糊塗霧隙羽「唯一食える果物、リンゴを使っても味気ないしな」

死忘「小さいもんね。」

かてないさかな「これは勝ち負けあるゲームじゃないんで私参加しますよ」

ロドク「どうやってやるもんか決まらんうちに参加表明されてもな。てかコレはやりたいのかよお前。」

かてないさかな「ロドクさんの第二の力?で何とかならないんですか?」

ロドク「あー。リンゴを材料にスイカっぽく組み立ててみるわ。できた」

ユキ「それもはや錬金術だよね…。」

ロドク「知ってるものは材料の内容関係なく、モノさえあれば何でも組み立てられるぞ。この海は死忘のポエムから作ったしな」

死忘「なんてものを使ってんだよ!!というか何で隠し場所ばれた!?」

ロドク「まぁともあれ。スイカは用意したぞ。見た目はスイカだがちゃんと中身はリンゴだ。」

かてないさかな「なら安心して割れますね。」

閃光騨「わっといてたべないとかありえないもんね」

激撃激「スイカがでてこなくてよかったぜー」

ユキ「あれ、まてよ。これ問題発生じゃない?シワくん棒持てないよ!」

ロドク「シワはそのままでいいだろ…手で切ってもらえば」

siwasugutikakuni「コレデイク…」メキメキメキ…

ロドク「あかん。その背中の腕は使用禁止だ。明らかに力強すぎるだろ。砂浜が吹っ飛ぶわ」

ミッキー「じゃぁ、見事割った人にはこの賞品って流れでいいんだなー?」

ユキ「OKOK。全員参加?」

全員「参加ー!」

ロドク「よし。一番手誰にいかせるか。ここは本当なら公平に決めたいとこだが」

ロドク「今回は独断と偏見で1番はミルラに行かせようと思う。新入りだしな」

ミルラ「え、ウソ。僕が?」

ロドク「みんなの意見次第。どうするー?」

全員「特に異議なし!」

ロドク「意外だ。誰かから差別反対とかの野次が飛ぶと思ってただけに。特に女性陣から」

ユキ「どうせ割らないもん。さっきのバレーとか見てる限り」

死忘「割らないね。ならさっさとどいて貰ったほうがいいし、一番でしょ」

ロドク「容赦なくひでーよこの女ども。とりあえずガンバレ、ミルラ」

ミルラ「え、うん、わかった!やるよー!」

ロドク「気合十分なのは判ったからスタート地点に立ってからタオル顔に巻きなさい。すごい勢いでコトちゃんに突っ込もうとしてるぞ。」

糊塗霧隙羽「ボディである”糊塗霧”はまだ治らんからその接近は怖いぞ。踏まれそうで」

ミルラ「ごごごごめんなさい!」

ユキ「はい、ではまわしてまわしてー、10回回してー」

ミルラ「あううああああ~」

ユキ「スタート!」

ロドク「ミルラ!とりあえずまっすぐだ!なんかいまスゲー右に傾いてるから!」

ミルラ「みぎぃいい…」

ロドク「逆だ!さらに曲がり始めてる!」

閃光騨「ミルにぃー。ゆっくりあるくんだよー」

激撃激「たおれるときはまっしょうめんになー」

ロドク「なんかやけにおかしなアドバイスあるけど無視だ!子供の戯言だから!」

糊塗霧隙羽「お。でも右に曲がりすぎて正面に戻ったぞ」

死忘「じゃあ今度は左に回りなよ」

ロドク「いじめんなよこの影女!まっすぐでいいぞミルラ!今のままだ!」

ユキ「おー。いい調子だ、いい調子ー」

ロドク「よしよし、そこだぞ!そこで止まってあとは叩くんだ!」

ミルラ「おっけぇー…」

かてないさかな「…なんかおかしな構えですね。ゴルフでもやるかのような」

ミルラ「えいやぁああー!」

ボスン!

ロドク「ゴバァー!!」

死忘「うわー!ミルちゃんによって打ち出されたスイカがロドクにホールインワーン!」

糊塗霧隙羽「顔面にあれが入る穴ねーよ」




以上、冒頭に戻る。





ユキ「つまり・・・・」

かてないさかな「ロドクはリタイアですね。あと、汁はスイカの汁」

ロドク「中身はリンゴつってんだろうが!!リンゴの汁は赤くねぇよ!!」

死忘「あ、いきてたかー。もう殺す…生き返らせようとしちゃってたよ」

ロドク「もろやる気があふれてんぞ!!殺とかいてやるって読むやる気がな!」

糊塗霧隙羽「すごく痛そうだな。大丈夫か」

ロドク「せめてお前くらいは味方でいてくれよ。普通にいてぇぞ」

糊塗霧隙羽「そうか。じゃぁ続きを」

ロドク「お見舞いの言葉もなしかよ」

糊塗霧隙羽「お悔やみ申し上げます」

ロドク「裏切り者がぁあ!」

ユキ「それで、結局…割れたの?」

ミッキー「だめだね、ハハッ。随分丈夫なスイカだなー」

ロドク「簡単に割れちゃすぐ終わるからな。ある程度は手を加えてるよ」

閃光騨「それぼくらでこわせるの?」

ロドク「力の問題じゃねーから大丈夫だよ。しっかり叩けば割れる。」

ロドク「ミルラは叩き方が悪かったからああなっただけ。」

激撃激「…つぎだれやんの?なにもきまってねーぞ」

かてないさかな「年甲斐もなく私が立候補いたしましょう」

ロドク「年甲斐もねーと思うなら譲れよ。俺に」

死忘「もっとねーよ。最初ミルラちゃんだったし・・女性陣って事でいいんじゃない」

ミルラ「僕男だってばー!」

閃光騨「はい、いきまーす」

糊塗霧隙羽「あ!揉めてる間にもう準備してやがる!譲るしかない!」

閃光騨「えい!」

激撃激「ぇええええ!?なんでふった!?」

ロドク「あ、勝手にチャンスを棒に振った。というか棒を振った、か。」

死忘「面白くないから言い直さんでよろしい。」

ユキ「この流れでゲキもいく?」

激撃激「おう!そこだぁ!」ズドーン!

ロドク「うん、これを想定して力じゃ壊れないようにしたんだよね。ルール破るなボケ!」ゴンッ!

激撃激「いてぇー!ユキ姉ー!」

ユキ「助けを求めても私は助けないよ、だって怒ってるもの」

激撃激「ひぃいいいいい!」

ロドク「次!もうちゃっちゃかやんぞ!!」


しかし、その後も全くスイカは割れず…ついにロドクとユキを除いた全員が叩き終わってしまった。


ロドク「そこまで厳しい設定にしたつもりはなかったが、ここまで割れないとはな」

ユキ「というかまともに割ろうとしない人大過ぎでしょ。」

全員「反省!」

ロドク「サルじゃねーんだからその反省は通用しねーぞ。」

ユキ「さて、早速ですが。どっちから先?」

ロドク「んー。一応言うと俺が後をやりたいが、お前は?」

ユキ「ほほう、それはラッキーだね。私は先にやりたい。」

ロドク「ならば、そのまま行くか。」

ロドク「(バカめ!俺が先にやらないと言う事は、俺が叩くのを失敗し、コツを漏らす事があっても見れないという事だ!これで引き分けには持ち込める!)」

ユキ「(何を考えてるか知らないけど、先の方が普通有利でしょ。早く叩けるんだし)」

ユキ「はい、いきまーす」

糊塗霧隙羽「もう私達に出番はない!ならば全力で誘導するまでだ!ユキ姉!左だ!」

閃光騨「もうちょっとゆっくりしたかんじでこっちのほう」

かてないさかな「具体的にいってあげなさい。二歩分右。あ、歩幅大きい。一歩半分左へ」

死忘「まっすぐー!まっすぐー!今いい感じだよー!」

ロドク「うっわマジで全力だなおい。ほぼ完ぺきに一直線じゃねーか」

ユキ「ここ?」

激撃激「そこだ!ズドーン!と、ドカーン!とやっちまえ!」

ミルラ「どういう仕掛けか判らないから慎重にわろうね!」

ミッキー「これはさすがに勝負決まったんじゃないかい?さぁ賭けの配当金を」

シュタイナー「いや。まだだ!私は大穴とはいえロドクを信じている!」

ロドク「おいまてコラ!賭けやるのはいいが大穴とはどういう事だコラ!」

ユキ「これで終わりにするんだー!えぇええい!」スポンッ

ドスッ!

ロドク「ゴフゥッ!!」

死忘「あ。また顔が。」

ユキ「あー…手が滑った。」

かてないさかな「綺麗にすぽーんと抜けましたね。手から。」

ロドク「いいからこれ抜いてくれないか。顔から。」

ヤキムシ「・・・・」ゴォオオオオ!

ロドク「ぎゃああああああ!焼き切れとはいってねぇ!!お前、死なないとはいえこれ拷問だろほぼ!!」

※精神世界なのでどんなことをやっても死にません。

ユキ「ほぼ完ぺきだったのに最後の最後で・・・あー・・」

ロドク「とりあえず、俺の番だ。よかったなシュタさん。賭けは勝ちだ。新しい棒プリーズ」

シュタイナー「だ、そうだが配当金を貰おうか。」

ミッキー「まだ外す可能性があるじゃぁないか。」

ロドク「もう俺でラストだからぶっちゃけるぞ。このスイカの真ん中あたりに棒が当たりさえすれば割れる仕組みにしといたんだ」

ユキ「なーんだ。思ったより簡単じゃん」

ロドク「そうだよ。なんで皆全くできなかったんだろうな。ちなみに棒以外でやると凄まじい硬度になって絶対割れんぞ。」

かてないさかな「もはやそれスイカじゃないのでは…」

ロドク「そもそもリンゴだしな。あと食べる時は問題ないから大丈夫だ。さ、割るぞー」

ロドク「ふぅん!!」ベキィッ!!

全員「素でミスったぁーー!!」

ロドク「うぉおお!スイカの一歩手前だったかー!!思いっきり棒折れたぁあ!」

ユキ「てか折れた棒切れちょっと当たったんだけど。仕返し?」

ロドク「仕返しになるかよこの程度!モロ刺さったんだぞ俺!」

ミッキー「大ドンデン返しだな。引き分けで賭けはなしだ。」

シュタイナー「おのれ・・・!ついに賭けで初めて勝てると思ったら…!」

※シュタさんはギャンブル好きだが負けてばかり。

ロドク「結局これも賞品獲得には至らず…あー、二週目は適当に誰か叩いちゃえよ」

ミルラ「えい!われたよ!」

ロドク「はええ!言われる前に準備してたなお前!」

かてないさかな「というか、誰の指示もなく一人で目隠しで割りましたよね、あの子。」

糊塗霧隙羽「!?」

閃光騨「べつにいいよー。たべよー」

激撃激「おれいちばーん!」

ロドク「あ、やべぇ!全部取られる前に食わねば!」



見た目がスイカのリンゴは、なんだか若干鉄さびのような味がした。


つづく。


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